よなよなビアワークス新宿東口店
コンバンハ。Yo-Heyです。
出張を私的利用して、新宿に新しくできたよなよなビアワークスに行って来ました。
長野が世界に誇るクラフトビールブルワリー、ヤッホーブルーイングの直営店。それがよなよなビアワークス。ヤッホーのビールがほぼ全種類樽生で飲める唯一のお店で、つまりヤッホーファンにとっては即ち聖地と同義の場所であります。
まだ都内にしか実店舗がなく、故郷の長野県内にはないのがとても残念であります。
さて、地図を頼りに新宿3丁目を歩くと、特に迷うこともなく店舗を発見。
無茶苦茶わかりやすいです。
ビールの描かれた看板を見るだけでテンションが上がって来ます。しかし走って転ばないように慎重に地下へと続く階段を下ります。
そこには暖色系の光に包まれた、ピカピカに磨き上げられたスタイリッシュな内装の広い空間がありました。
照明は明るすぎず暗すぎず、ムーディーすぎることもなく程よく落ち着ける感じ。
またカウンター席もテーブル席も適度なスペースが確保されており、1人でも複数人でも気兼ねなく過ごせる贅沢な空間となっております。
僕が座ったカウンター席はなんだか石造りのような重厚な造りで、オシャレなだけではなく実にリッチな内装という印象でした。
さらにその日僕は巨大なスーツケースを持ち込むというやや迷惑な客だったのですが、スタッフのメガネをかけた優しそうな青年がスーツケースにナプキンのようなものを掛けてくれました。食べ物や飲み物で汚れないようにしてくれたんですね。まるで一流のレストランのようなきめ細かなサービスに感動しました。
さて店内の話はこれくらいにして、本題のビールについて語らなければなりますまい。って誰にも強いられてはいないけど、一応そういうブログだから。
ヤッホーファン垂涎の錚々たるビール名が並ぶスタンダードメニュー。はっきり言って僕は店内の様子にそこまで興味はなく、ただただビールにのみ関心を集中させていました。
ビアフライト・ライター(自称)としてまずはテイスティングセットを注文。サンサン、ワイルドフォレスト、よなよなエールの定番3種をセレクトしました。
サンサンはオーガニック素材のみを使ったゴールデンエール。香り、苦味はほとんどなく、食事とともに水のように飲むのに最適そうなさっぱりしたビール。量が少なめだったこともありあっという間に飲み干してしまいました。
ワイルドフォレストはサンサンよりはややコクがあるものの同じくライトで苦味の少ないブロンドエール。ヤッホーさんのビールの中ではかなり大手のビールに近い(というのは褒め言葉ではないかもしれないけど)中立的な味、感触。安心感のあるおいしさ。だけど、少し物足りない。そんな感想をかすかに抱いた。
続いてよなよなエール。飲んだ瞬間、やっぱこれだよ、と心底思った。圧倒的に旨い。
グラスを近づけるだけで漂ってくる柑橘系ホップの香り。少し濃いめの琥珀色そのままのずっしりとしたコク。フルーティーな余韻と後味。すべてが完璧に調和し、月世界のような静謐な世界を作り上げていた。
普段最もよく飲むクラフトビールでありながら、樽生で飲むそれは初めて飲むかのような鮮烈なインプレッションを放っていた。普段よく行くお店のママがどんなモデルや女優より美人、そんなビールかもしれないと思った。スナックとかには行ったことないけど。
ここでメニューを改めてひっくり返してみて驚愕。なんと、この春リリースされるorされたばかりの限定シーズナルビールが勢ぞろいしているではないですか。
僕ビール君ビールのよりみち、前略好みなんて〜シリーズのセッション柚子エール。それぞれ昨年と一昨年のマイベストビールとして記憶に刻まれた伝説的なビールだ。まさか同時に復刻し、同時に飲める時が来るなんて。Oh,My God!!
さらにその時点では未発売の軽井沢高原ビールのシーズナル、ESB(エクストラ・スペシャル・ビター)。これは、定番のテイスティングセットを頼んでいる場合ではなかった。
ものすごく悩んだ末、セッション柚子エールをパイントでオーダーした。ドラフトで飲むのは初めてだったからだ。
一口目。とても爽やかな柚子の香りとかすかに塩の効いた柑橘系の苦味がシーブリーズのように吹き抜けた。
僕の記憶よりとてもすっきりしていた。もしかしたら少し製法が変わったのかもしれない。より飲みやすく軽くなった印象を受けた。樽生で飲んだからかもしれないけど。
柚子とあら塩というとても個性的な材料を使いその特徴をしっかり際立たせつつ、いわゆる「変り種」的な物珍しさではない、これこそが正統派のビールだ、と堂々と主張するような確立されたバランスのビールだと思った。こんなチャレンジングなビールがたくさんあるとすごく楽しいと思う。
結構飲んでしまった。もっと飲みたいがこれからまだ長時間移動しなければならない。苦慮した末、最後の一杯はESBにすることにした。「よりみち」は去年赤坂のよなよなビアワークスで飲んだからいいよね!と無理やり自分を納得させて。
結果、最良の選択だった。エクストラスペシャルビター、これは今年のベストビールになるかもしれない。濃い琥珀色、豊潤な香り。しっかりとした苦味とモルトの甘味が素晴らしく深いコクを生み出している。微かな酸味とともに、苦味の心地よい余韻が残る。まるで過去のほろ苦い記憶のように。
ヤッホーの中で言えば、よなよなエールの延長上にある、よりビターネスとコクを深めたスペシャル版という印象。
過ぎ去りしエバーグリーンな日々を思い出しながらじっくりと苦味を味わいたい、そんな夜にふさわしいビールだと思った。
そしてよなよなビアワークスは、とても洗練された上質な「ビールとそれに合う食事を楽しむ空間」だった。一人でも仲間とでもよし、日常の延長にありながらもちょっとだけ特別な、非日常的な憩いの場所。都会的でありつつ都会でもなかなか得難い空間だなあ、また来たい。そう思いつつ、重い腰とスーツケースを持ち上げて僕は地上へ、日常へと帰っていった。
どうやら、ビールのことを思い出しながら書くとどうしても叙述的、一人称回想録的な文体になってしまうらしい。困ったことだ。もうこれで統一しようかな、と思っている。別にどちらでもいい気もするけれども。
チャオ!